心理だけでない原因

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心理的要因だけでない

無駄だと分かっているのに、気になってしまう、ついつい不安で、意味のない行動をしてしまう、こんな症状に気がつかないうちに苦しまされるのが、強迫性障害です。強い精神的ショックや、幼少期におかれた環境が強迫性障害の原因の一つとされているために、長きに渡って心理的な問題が原因ではないかと言われていましたが、実際のところハッキリとした原因は明らかになっていませんでした。もちろん、強迫性障害には性格や後天的な要素によって起こりやすい人が多いことも事実ですが、最近の研究で、強迫性障害は脳神経の異常によって引き起こされるということも分かってきたのです。

脳内のセロトニン

強迫性障害の患者の脳を調べたという研究があります。それによると、強迫性障害の患者の脳内では、脳内で分泌される気分や感情をコントロールするセロトニンをキャッチして、細胞に取り込む役割を持つ「セロトニントランスポーター」が健常な人に比べて減少しているということを調べた研究で、強迫性障害で悩んでいる人々にとっては画期的な研究でした。セロトニンはその他の神経伝達物質が万一過剰な働きをしてしまった場合でも、それを抑える役割を持っています。このセロトニンという物質は、強迫性障害だけではなく様々な精神疾患に関わっており、近年増々研究が続けられています。脳神経の問題もあるとは言え、心身ともに強いストレスが脳にダメージを与えるとも言われており、普段から自分の考え方のクセが自分自信に負担をかけていないか、疲れを溜めたり傷ついた心を癒やす時間を取れているか、といった心の健康管理にも気を配ることが、強迫性障害を改善していく方法の一つでもあります。

遺伝的な要因も

実は強迫性障害には遺伝的な関係がやや見受けられるとも言われています。親子といった非常に近い血縁の下で遺伝の発生率が多い場合で2割ほど、一卵性双生児でも同じ程度に病気の一致率があるために遺伝的要素を含むと言われています。しかし、環境や親による過度な躾なども影響するとされているため、必ずしも遺伝が見られるというわけではありません。特に幼少期は親の愛情の大きさやどのように躾をされていたかということが、その後の子供の人格に大きく関わります。例えば、子供がした良い行いや努力に対して、「もっと頑張らなくてはいけない」というような更に高い要求をし続けるという躾をする人がいます。親としては子供にもっと上を目指してもらえるように、という気持ちでこのような言葉をかけるのですが、子供はこの言葉によって、もっと頑張らないと親から認めてもらえない、ここまで出来ない自分は悪い子なんだというように自己否定感を持つようになるかもしれません。このように躾をされた子供の多くは同じような躾を自分の子供にも行う可能性があります。近年ではこうした躾の悪循環も問題となっており、強迫性障害だけでなく様々な精神疾患の原因になるとも言われています。遺伝的な要因はもちろんですが、家庭環境が子供に与える影響もよく理解しなくてはなりません。